ごあいさつ
皆さん、おはようございます。塩田と申します。1937年生まれで現在87歳です。
私たちニッコーは世界初の木材など自然由来の材質の弱点である耐久性を大幅に改善する化学合成物質を一切使わない「ニッコー・液体ガラス」を開発したオンリーワン企業です。
日本に迫るインフラ危機
ニッコー・液体ガラスは、私が都市開発に関わっていた時に感じた日本のインフラへの危機感から生まれました。戦後の高度経済成長期に建設されたビルや高速道路、マンションなどのほとんどは鉄筋コンクリートが使われていますが、コンクリートは時間と共に水分が蒸発し、隙間ができ、その隙間から水が入り、中の鉄が錆びてしまいます。そのため耐用年数は50年〜60年と言われています。耐用年数が過ぎた鉄筋コンクリートはどうなるでしょうか?全て造り直しです。そう、すべて壊して造り直す。今後日本のインフラは大補修を迫られる時代に突入します。
世界の遺跡から
液体ガラス生成のヒントを得る
このままでは大変なことになってしまう。私は建造物を長期耐久化するヒントを探しに世界各地を見て回り、世界で1000年、2000年と長く残っている遺跡のほとんどが自然石で造られていることに気がつきました。さらにそこから石の成分である石英などを溶かして作る丈夫な無機物が「ガラス」であるということを知りました。それならば、ガラスを液体にし、建材を無機・有機のハイブリッド化することができれば、建造物の耐久性が大幅に増すのではないかと考え、長年の研究成果により、通常1400度以上の高温で液体化するガラスを、化学合成物質を一切使わず常温で液体化する技術の開発に成功しました。
72歳から始めた挑戦
私は様々な研究過程の中で「ニッコー・液体ガラス」が木材にも有効であることに気がつきました。日本の国土は68%が森林ですが、戦後、建造物は鉄筋コンクリートが主流になり、木が使われなくなってしまいました。しかしこの木材に化学合成物質を一切使わない液体ガラスの技術を応用すれば、コンクリートを遥かに凌駕する長期耐久性が実現でき、無害で安全な木材を作ることができる。そうすれば日本の素晴らしい技術を活かした今までにない木造建築が可能になる。そう思い立ち私は72歳で株式会社ニッコーを創立し、このオンリーワンな液体ガラスの普及を目指しています。
人類と自然の調和
私たち日本人は本来、自然との調和を重視し、衣・食・住のすべてで自然と共に生きてきました。現在世界では気候変動や格差の拡大など本来あるべきバランスが崩れてきています。この世界的な危機の中、持続可能な社会を目指すためには、人類と自然との調和が必要不可欠であり、私たち日本人は、本来その方法に長けた民族です。経済活動を維持したまま、自然と調和した社会を目指す。私たちは世界の中で先頭を走ることができる文化を持っているはずなのです。
子供たちにいいものを残したい
日本の美しい風景と、世界に誇れるものを未来の子供たちに残していきたい。私は、木造のビルが立ち並ぶ自然と調和した街で、子供たちみんながよく遊びよく笑い、すくすくと成長する姿を想像すると、ワクワクしてしょうがないんです。今、私たち一人ひとりに、日本がどのような未来へ進むのかが問われています。だから私たち爺さんたちが子供たちのために「今」人一倍頑張らないといけない。だってそうでしょ?今を作ったのは我々大人たちなのだから。
子供たちにいいものを残したい。人類と自然の調和した社会のために、同じ気持ちの仲間たちと一緒に、私は情熱の全てをそそいでいます
経歴
1937年、徳島県生まれ。公共事業関連の会社の立ち上げに関わり、1964年、日建工学株式会社設立に参加。常務取締役に就任する。
「コンクリートの寿命は、半世紀程度」という言葉を受け日本のインフラに危機感を覚え、辞職。
建築物を長期耐久化させるヒントを探して世界各地をまわり、「常温でガラスを作る技術」を開発する。
1991年、株式会社日興を設立。コンクリート劣化防止国土交通省技術認定を取得、T&Cの防食工法協会会長、クリスタルコンクリート協会会長を経て、2004年、液体ガラスで話題を呼んでいる現在の会社、株式会社ニッコーを設立する。
また、翌年には財団法人日本立地センターと業務提携し、表面処理剤研究会を設立。木材の浸透性塗料の開発と液体ガラスの生産を本格始動。
コンクリートの強度向上だけでなく、燃えない、腐食しない、シロアリに強い、長期耐久木材が誕生し、林業の活性化にも一役かっている。